今回は私の店、AigiS the BackgrounD(GoogleMAP)
で定番で使用している革について説明しようと思う。
【革とは】
皮革(ひかく)とは、動物の皮膚を生のまま、または、なめしてあるものを指す。
動物からはいだ皮膚を皮、皮から毛を除き、なめしてえられる製品を革といい、
生皮から革までを含めて皮革と総称する。
毛皮は毛をつけたままなめしたもので、広義には皮革に含まれる。
20世紀以降では人工的に作られた人造皮革(人工皮革・合成皮革)があり、
それらを含む場合もあるが、その場合動物の皮膚をなめしたものを人工皮革と区別するため、
天然皮革(てんねんひかく)や本革(ほんがわ)ということもある。
ヨーロッパなどでは基準があり明確に区別されているが、
日本では基準が浸透しておらず、曖昧になっている傾向がある。
皮革の中でも、元々生えていた体毛まで利用するものは毛皮という。
(出典 Wikipedia)
当店は本革のみを使用しており、合皮は使用していない。
合皮のほとんどはポリウレタン製である。
本革と比べて耐水性や価格、均一な表情などが優れているが、
劣化するとポロポロと表面が剥がれてしまうという欠点がある。
本革は耐水性の低さや手入れの手間、重さ、大きな個体差など、
旧世代の素材らしい欠点は多くあるが、
逆に丁寧に扱いさえすれば何年でも使用することができる。
また、本革は経年変化という表情の変化が起きる。
よく触る場所、日の当たり方、オイルの入れる頻度等によってその変化は千差万別だ。
時間が経つにつれ、自分だけの革へと成長していく
というのも、本革の魅力だろう。
当店の革は特にその経年変化のスピードが速い革を使用している。
その分個体差も大きく、全く同じ作品をたくさん作る、ということができないが、
本革に興味を持つ読者らにはむしろメリットに見えることと思う。
以下の画像は2019年6月完成時の画像→8月時点の画像→2020年5月時点の画像である。
2ヶ月ほどでよく触る画像上部分にシワがより、
コバ(革端)に色濃く艶が出ていることが分かると思う。
約1年ほどの使用で、全体が濃い色へと変化しつつ、
よく触れる部分はより濃くむらっけが出ている。
当初は少しけば立ったような手触りだったのだが、
くたっと肌になじむようになっており、非常に手触りがよくなった。
【ワークショップ】ミニマムサブウォレット【¥12,320】
※ネット予約は500円先払いいただき、
当日差額をお支払いいただくようになります。
こちらの財布は店内ワークショップで実際に作ることが可能だ。
ぜひ自分だけの財布を作りに来ていただきたい。
【なめしについて】
皮(生皮、動物から剥いだ直後~塩漬けにしたもの)から
長く使える革へと変化させる工程が鞣し(なめし)と呼ばれる工程だ。
革を語るにはここを避けて通れない。
大きく分けて2種類のなめし方が存在する。
※細かく言うとキリがないので、今回は2種類。
【タンニン鞣し】
植物(ミモザなど)から抽出されるタンニンという成分を用いて鞣す手法。
詳しい説明はタンナーさんなどのプロに任せてここでは大きく特徴を書いていく。
1:(比較的)固い
2:水に弱い
3:経年変化が大きい(早い)
4:(比較的)価格が高い革が多い
【クロム鞣し】
重金属のクロムを用いて鞣す手法
1:(比較的)柔らかい
2:(比較的)水に強い
3:経年変化が小さい(遅い)
4:(比較的)価格が安い革が多い
どちらが優れている、というものではなく、
使いたい用途に応じて使い分けるのが正しいだろう。
私はタンニン鞣し革をお勧めする。
特徴1の柔らかさであるが、
柔らかい革は伸びやすく、形がきれいに出にくい。
そこまで計算に入れたものをいきなり作るのは、難易度が高いと思われる。
特徴2の水への強さであるが、
もし読者が名前や記念日などを刻印したいと考えているなら
タンニン鞣し革を使うことを強くお勧めする。
クロム鞣しは水に強く柔らかい、つまり刻印を入れても元に戻ってしまいやすいのである。
タンニン鞣し革には水で濡らして形を整え、
乾かすとその形で固まる可塑性という特徴があるが、
これが刻印をしっかりといれることに役立つ。
丸みを帯びたデザインのバッグや、口を絞る巾着を作りたいなら
柔らかいクロム鞣しのほうが使いやすい、ということもあるだろう。
ではいざ手芸店やハンズなどに行って革を見た時に
この革はクロム鞣しか、タンニン鞣しか
分かるかと言われれば、書いてなければおそらく分からないと思う。
なんなら店員さんでもわかっていないことも多い(と思う)。
指先の感覚頼りだが、
裏面(トコ)が青みがかっていて、全体的に柔らかく弾力があり、
表面と革端(コバ)・ウラ(トコ)の色が違う(表面だけ色がつけてある)のであれば
クロム鞣しである可能性が高い。
逆にタンニン鞣しは固く、中身が詰まったような感触である。
特にタンニン鞣し革の中でもオイルがしっかりとしみこませてある
オイルレザーと呼ばれるタイプの革は
革の端を折り曲げてみるとその部分だけ色が薄くなるプルアップという特徴がある。
これも判断材料の一つになるかもしれない。
ただし、折り曲げた部分は簡単には元に戻らないので、
端っこをちょっと曲げる程度にしておいてあげてほしい。
【当店で使用している革の種類】
さて、散々タンニン鞣しとクロム鞣しについて語っておいて
なんなのだが、当店で定番で取り扱っているレザーはコンビ鞣しである。
コンビ鞣しとはタンニン鞣しとクロム鞣しの両方を使用した革で
両方の特性をいいとこどりしたような革を作ることができるようだ。
当店の革はタンニン鞣し寄りのコンビ鞣しで
前述のように少し固めで経年変化が速く、刻印等もしっかり入る。
しかし刻印を打つために水を染みこませても、
乾燥後にガビガビに固くなりづらく、適度な固さを維持する。
いわゆるオイルレザーに分類され、プルアップも起きる。
当店ではその革を1㎜厚のものと2㎜厚のものでそろえており、
さらに裏面(トコ)は入荷した時点で磨いてしまう。
すべてはストレスなくレザークラフトを楽しんでもらうための工夫である。
また、随時国産・海外産問わずいろんな革を見つけては仕入れていくので、
楽しみにしておいていただきたい。
ぜひご来店いただき、その眼で、手で触って確かめてほしい。
[…] また、当店で使用する定番の革以外にも イタリアンレザーを中心に 高価だが、唯一無二の作品を作ることができる レザーを随時取り扱っていくので期待していて欲しい。 […]