私の転職活動記~廃業、転職活動そして内定に至るまで~

私の転職活動記~廃業、転職活動そして内定に至るまで~

2021年2月、私の10年間に及ぶ挑戦が幕を下ろした。
経営不振による廃業だ。私の起業家人生はわずか1年でひとまず幕を下ろした。

ちなみにネットショップはそのまま残している。
私が最後に生み出したギリ日常使いできるペストマスクKaruraは
おかげ様でちょこちょこ売れている。ありがたい限りだ。

さて、起業家人生が休止しても人生は続く。
死なない限り生きなければならない。
私は廃業手続き後すぐに転職活動を始めた
それがまさかこんなに苦労することになるとは・・・。

以下に包み隠さずまとめてみたので、何かの参考になれば幸いだ。
起業を志す者はこうなる可能性があるということを
覚悟する必要があるかもしれない。
というかこうならないためにどうすればいいか、
どういう人間に成長すればいいかを考えてほしい。

【この1年のざっとした就活の経歴】


集計時に掲載が終了している求人も多く、
面接回数や給与などが不明になってしまった部分がある。ご了承いただきたい。
こんな表が作られるほど就活を続ける予定ではなかったのだ。。。

【総評・分析】

応募総数32件(内定1件)
就活期間:2021年2月~11月8日(10か月)
  ※3月~5月末まで約3ヶ月間就職活動を休止しアルバイト&WEBデザイナーの勉強
活用媒体:リクナビネクスト、doda、ビズリーチ

書類選考通過確率29% 最終選考到達確率19%(書類選考通過した求人に絞ると27%)
求人に掲載されている月給下限:20万(販売)~35万(コンサル):中央値24万
            上限:22万(販売)~90万(販売)  :中央値32万

書類選考で7割落ち、書類選考を通過したら3割程度は最終面接まで進んだ。
最終面接まで進んだ6社のうち、内定は1社のみ(3%って・・・コト!?)。

【応募した企業の分析】

WEBマーケターやコンサルティング業の月給下限が高く
小売販売業(店員・店長候補)の月給は下限・上限共に低く設定されているものが多かった。
販売職であっても複数店舗を監督するスーパーバイザー職などは月給下限が高め
に設定されることが多い。

※月給は求人ページ上で20万~30万という風に提示されていることが多い。
  20万を月給下限、30万を月給上限と表現した。

販売職(特に店員募集)の給与が低いことはある程度現実であると思うが、
しかしこれは私の心理状態が大きく影響している可能性がある。

提示月給が高い未経験業種企業=内定が取りにくい
提示月給が低い経験業種企業=内定が取りやすい

というイメージがあった。
事実面接が通らず、どんどん余裕と自信を無くしていく中で
「これなら受かるだろう」という理由付けに
給料の低さや仕事の簡単さを用いていたことは否めない。

【不採用の一因=悪化していた精神状態】

上記における仕事の簡単さとは、エリアマネージャーまで経験しているなら
店長、あるいは店員なら簡単にこなせるだろうという考えだ。

こうなると困るのが、志望動機だ。
何せ給料は今までよりも低く、そこを乗り越えてたどり着いた仕事もしてきた。
結局「接客が好きだ」とか、「これまでの経験が生かせそうだ」とか、
「取り扱っている商品に興味がある」とか、そういう無難なことしか言うことができない。

会社説明会が行われているわけでもないので、店員として入社後、
どのようなキャリアパスがあるか、面接で聞くまで分からない。
例えば熱意を示すために「店員に留まらずバイヤーになりたい!」
と言っても、それが評価される会社かどうかが分からなかった。

そしてそういう将来のキャリアパスについて思いを巡らせられるほど
私の精神は前を向いていなかった。

廃業によるショック、転職活動の難航で精神状態は最悪である。
なんならもはや下手に出世して
店長やエリアマネージャーなど任されたくないという意識まであった。

あれだけの仕事量や、責任の重さに耐えられたのは
起業するために経験を積むため!これくらいこなせなくてなんだ!
という強い意志があったからだ。

それがなくなった今、接客販売業を志すモチベーションの6割がなくなっていた
もちろん接客は好きだし、様々なお客様と接する中で得られるものには代えがたいモノがある。
しかしその感情をいくら鼓舞しようとしても、働く意味、
生きる理由を見いだせなくなってしまっていた。

【応募頻度とその理由】

2~3月は1ヶ月に1件程度のペースで応募する。
そうは言っても店長、エリアマネージャー、バイヤーまで経験して、
起業までしたそれなりの経歴だ。大丈夫だろうと慢心があった。
しかし販売職であっても書類で落ちたことに驚愕。長期戦を覚悟した。

バイト&WEBデザイナー勉強明けの
5~6月もペースはあまり変わっていないがこれは就活慣れし、
1社1社が地味に選考が進み、その対応に時間をかけたため。

1社の選考にはやはり1ヶ月程度どうしてもかかる。
応募(1日)
1週間後書類通過(7日)「お。受かりそう」
1週間後に1次面接(14日)
さらに1週間後通知(21日)「お、1次受かった」
その1週間後に2次面接(28日)    
さらに1週間後通知(翌月7日)「2次で落ちた・・・」
この時点で応募から1ヶ月以上が経っている
みたいなことが起きていた。

7月に16社、8月に3社、9月に6社応募する。
この頃には最終面接まで行っても本当に落ちる!ということが分かったため
選考の進み具合に関係なく数打つことを重視した。
勉強したWEBデザイナー職も応募する(書類選考で全部落ちた)。

10月に1社応募する。
もはや応募したい、受かりそうと思える求人がなくなってきており、
ほとんど絶望していた。
その最後の1社で内定を勝ち取ることとなる。

【就職活動記】

就職活動を始めたばかりの頃は販売業務への興味喪失や将来性のなさへの不安もあり、
またこの機会にキャリアアップを図るため、販売職の上流工程であるスーパーバイザー職や、
完全異業種であるWEBマーケター職を志望した。
しかし書類選考すら通らず長期戦になることを感じたため一度就活を停止し、
革屋でアルバイトを始める。アルバイト中にWEBデザイナーの勉強も行った。
その中で再び就労意欲や社会人生活に対する自信(特に誰かと一緒に働けるという自信
を取り戻し、再び5月末より就職活動を再開した。

ここでのアルバイト経験は非常に大切なものであったと思う。
社長や社員の方々は非常にやさしく親身に接してくれ、
「ひょっとしてもう他人と一緒に働くという技能を失ってしまったのではないか?」
「私は社会人としてもう一度生きていけるのか?」
という自信喪失状態を脱することができた。
こんな私でも働くことで感謝され、必要とされるのだと感じることができた。
本当に感謝している。

WEBデザイナーやコンサルティング業を志望し、応募を続けるが
一向に書類選考が通らないため徐々に給与の低い販売の仕事へも応募を始める。
販売職10年の経験はさすがに無視できない経歴であったか、
徐々に面接までたどり着けるようになった。
面接にも慣れてきて書類が通れば1次も通過できるようになってきていたが、
やはり役員面接となると熱意不足が見透かされるのか、最終面接が通らない。
(1週間以内通知と言っていたのに2週間以上待たされること複数回、
 おそらく他内定者の返答を待つためにキープされていたのだろう)

そんな中リクナビネクスト内で見覚えのある会社名が偶然目に入った。
前職の取引先と同じ名前だったので、興味を惹かれ求人内容を確認、
全く別の会社であることが分かる。それが今回の内定企業との出会いであった。
ベンチャーでありながら平均年齢が30代と少しだけ高く
多くは平均20代で、年齢で足切りされることも多かった)、
起業支援の会社であるということから、起業経験が役に立ちそうだと思い応募した。

正直書類選考も通るまいと考えていたが、
書類、1次、2次、最終とトントン拍子に選考が進み、内定となった。
内定が決まる会社との面接とはそういうモノなんだろう。
新卒の時もそうだった。

 1次面接は金曜に面接して月曜日に連絡あり
 2次面接は木曜に面接して金曜日に連絡がきた。
 最終面接だけは1週間待った。生きた心地がしなかった。

「ここを落ちたらもうダメだ立ち直れない」と思い詰めていたせいか帯状疱疹が出る。
しかし、迅速な投薬のおかげで軽症ですんだ。
無職だからすぐ病院に行けたのが良かったんだが、
そもそも無職じゃなかったら帯状疱疹になっていない。

【採用・不採用の差はどこでついたのか】

内定が出た面接と落ちた面接の違いを考えてみた。
熱意の差と言えばそれまでだが、では熱意の差はどうやって表現されていたのか。
それは会社の方針や業務内容の理解をした上で、
いかに自分の経験や嗜好をその中に落とし込んで発展させられるかであるように思った。

“自分の経験・将来の夢=企業が獲得する新しい価値・これからの利益”
であるということをいかにアピールできるかということである。

不採用だった企業に対しては募集要項に記載してある業務のみに対して
自身の経験をアピールするだけで、プラスアルファの価値を提示できていなかったように思う。
新卒就活時も女性客ばかりの手芸用品店に男性向け需要開拓という
新しい可能性を提示できたことが内定の一因であったのかもしれない。
そもそも応募が少ない男性社員は問答無用で内定だった可能性はあるが

今回で言えば、「起業を応援したい」だけでなく、
私の手芸業界での経験や起業した経験・目的が、
すでに実施されている主婦のプチ起業応援事業や、
まだ開拓され切っていない手芸×起業分野の発展に寄与し、
企業の力になるかもしれないと期待させたことが一因であったのではないだろうか。

何がしたいですか?と聞かれたことに対して、
「なんでもします」や「早く仕事を覚えて一人前になりたい」ではなく、
具体的に「これこれこういうことがしたいです」と言語化でき、
それが企業にとってプラスアルファの価値を生む可能性があると
感じさせられたことが、採用の要因であったのではと思う。
(手前味噌な分析ではあるが)

そういうモチベーション、志望動機に対して嘘をつくとまで言わないが、
飾ることができなかったことが今回の就職活動の長期化を招いた原因であることは否めない。
また、そういう具体的な将来展望を比較的容易に描くことができ、
素直に真摯に志望動機を伝えるだけで採用してくれる企業に出会えたことは
幸運であったと言わざるを得ない。

まさに捨てる神あれば拾う神ありである。
ある企業の面接では

「私はこの会社で数十年務めているけど起業なんてできる気がしない。
 社会人経験が本当に起業の役に立った?
 どうあれ結局あなた未経験だから20万しか出せないよ」

と言われ、人生の落後者になったような気分になったし、
他社でもそもそも起業経験について一切触れることなく、
前職の経験のみを聞かれることが多かった。
(そういう会社は提示する給料が低い傾向があったように思う)

もちろんほとんどの面接官の方々には非常に丁寧に対応していただいた。
圧迫面接と呼べるようなものはなく、思い返せばちょっとしたストレステストだったのかな?
程度の答えに窮す質問があったくらいだ。

逆に高い月給を提示していた企業の面接では、
前職の経験ももちろん聞かれたが、どうして起業したのか、なぜこのタイミングだったのか、
どういう業態で事業を行ったのかをしっかりと聞かれたように思う。

未経験業種が多かったので、前職経験よりも起業経験から働くことに対する意識や能力の高低、
熱意などを計ろうとしていたのかもしれない。
その伝え方の不足であったり求めるレベルでなかったことが、
不採用という結果を招いていたのだろう。

どうあれ、ようやくこれで第二の人生を始められそうである。
一時は本当にダメかと思ったが、妥協せず、諦めず、納得できる転職活動ができたと思う。
支えてくれた両親、妻、猫、関係者各位へは本当に感謝と謝罪の念に堪えない。

【各転職サイトの特徴】

リクナビネクストとdodaは非常によく似ていて、
毎日のように求人の紹介メールが10通以上来る。
どちらも“あなたが興味の示した求人と似た求人”を表示してくるが、
dodaは競合ともいえる非常によく似た求人のみを多数提示してくるのに対し、
リクナビは独自のアルゴリズムでもあるのか時々
あまり関係のないような求人を提示してくることがある。
販売という条件で探しているのに起業支援の会社や営業、
障がい者雇用支援の会社が出てきたりなどだ。
この機能のおかげで思いもよらない求人に出会えるので、
自身の経歴や知識だけでは見つけられなかった企業、
仕事を知ることができたのには非常に感謝している。

dodaは掲載されている求人が若い人向けの面白そうな仕事が多かったので、
そのあたりが棲み分けポイントなのかもしれないと思った。

ビズリーチは失業者の転職活動には向いていなかったと言わざるを得ない。
あれはある程度会社内で成功していてキャリアアップのための転職を希望していないと
内定は取れないように思う。
確かに給与水準は高かったが当然求められる人材の質が高く、厳しかった。
1から出直しというよりは、いきなり管理職を任せられるような職種が多かったように思う。
最初からそう書いてあるじゃないかと言われたら、その通りだとしか言えないが。

34歳。まだまだ若い気でいたが転職市場においては決して若くはなかった。
特に未経験業種への転職は想像以上に厳しい。経験業種であっても高い実績を求められる
もし本気で転職を考えているなら、
20代のうちに動き出さないとかなり苦労することになるだろう。

【年齢・状況別おすすめ転職サイト】

20代で「私はこの仕事をしたい!」というのが明確であるならdoda+リクナビ

20~30代で「おおまかにこんな仕事がしたいけど、
 具体的にどんな企業・業種があるんだろう?」という人はリクナビ+doda

30代以降で「もっと高給でやりがいのある仕事をするために転職したい」という人はビズリーチ

そんな感じだろうか。
永遠に続く地獄かとも思われた転職活動を終え、ようやく内定をいただいた。
世の中には起業の成功者がどうやって成功したかという本や言説は多数存在するが、
失敗し、廃業した人間がその後どうなってしまったのかを書いている人は
多くはないのではないだろうか。
きちんと調べてないから、どうかは分からないが。

どうあれこんな経験をした人間は多くはないだろう。
一度総括して、文章にまとめておくことはきっと
これからの自分や起業家たちの役に立つだろうと思い、ブログに書いた。
まさか6,000字を超えるとは思わなかったが。

これからはこの経験を生かし、一人でも多くの起業者が失敗することなく
楽しく経営を行っていけるよう全力で支えていきたいと考えている。

未来ある若者に乾杯!

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