【起業】モノ消費?コト消費?今流行のライフスタイルショップという考え方

【起業】モノ消費?コト消費?今流行のライフスタイルショップという考え方

数年前から盛んに叫ばれるようになったモノ消費からコト消費への移行。
ライフスタイルショップという業態の登場

つまりどういうことなのさ?

私なりの解釈を書いていこうと思う。
何かの参考になれば幸いだ。



【モノ消費とコト消費とは?】

研究した書籍がたくさん出版されているので、
しっかり勉強したい人は専門家の本を数冊買ってそれらを読んだ方がいい。

モノ消費は従来の消費行動である。
例えば、革の財布が必要になったからお店で買う。
今までは革の財布を持っていなくて、必要とする人がたくさんいた。
革の財布を生産して、店頭に並べてちゃんと接客していれば売れた。

しかし今は革の財布がなくてもカード1枚あれば買い物ができてしまう。
大きくて重い革の長財布など、不要な時代なのだ。
いくらきれいにディスプレイしようが、スペックのすばらしさを説こうが、
いらないモノはいらないのである。

コト消費はこれからの消費行動のトレンドである。
例えば、憧れのロックスターがデニムのバックポケットにロングウォレットを挿していた。この財布を買う。
この人は革の財布を買いに来たのだが、革の財布を買いに来たのではない。
憧れのロックスターに近づきたい、カッコよくなりたいという欲望を買いに来たのである。

これを理解していると、接客の仕方もおのずと変わってくるのが分かるだろう。
重要なのはカードが何枚入るかではない。
これを買うことによって購入者の生活=ライフスタイルがどのように変わるか
を説くことが重要になってくる。

コト消費で最もわかりやすい例は体験(ワークショップ)である。

コト消費は“体験を買いに来ている”と言い換えることもできる。

革の財布を持っている人はたくさんいるが、
買った財布に自分でネーム刻印ができるワークショップを経験したことがある人は
まだ多くはないのではないだろうか。

このワークショップに参加している人はいますぐ財布が必要な人ではない。
売っているものは同じ革財布だが、
この人は自分だけのオリジナル革財布を作るという体験=コトを買っているのだ。

以上がモノ消費とコト消費の違いの簡単な説明である。


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【ライフスタイルショップとは?】

昨今話題のライフスタイルショップだが、従来のショップと違うところはなんなのか?
ある先生が非常にわかりやすく一言で表していたので紹介させてもらう。

「ライフスタイルショップとは〇〇屋と表現できない店のことである。」

例えば
生地屋さんは生地を売っている。
魚屋さんは魚を売っている。

生地屋さんが魚を売っていたらおかしいだろう。

ではイタリアの生活をイメージしたライフスタイルショップというものがあったとして。

その店ではオーナー自身がイタリアで買い付けてきた生地を使ってエプロンを作り、
そのエプロンをつけて魚をさばき、アクアパッツァを作ることができる・・・
というワークショップを開催しているとしたら。

一つの店で生地と魚を売ることがおかしいことではなくなる。

このイタリアの生活を体験できる店は生地屋だろうか?魚屋だろうか?
それともイタリアンレストランだろうか?

まぁこのイタリアンなライフスタイルショップが流行るかどうかは別として
〇〇屋と括りにくいお店であることは確かだろう。

このようにライフスタイルショップとは
顧客が理想とするライフスタイルを(一時的にしろ長期的にしろ)
提供することで利益をあげる業態なのである。



【ストーリーを考える】

さて、では既存の店舗で既存の商品(モノ)を扱っている限り、コトへの移行はできないのか?
そんなことはない。

要は店側の意識の問題なのだ。
なんでこの商品を売っているのか?
欲しいお客様がいるから? それも正解だ。
でも「これを使うとお客様の生活がこう変わる」という意識で売るのであれば、
それはライフスタイルショップの入り口だ。

この“モノ”はこれこれこういう素材で作られていて、
生産者はこういう人がこういう思いを込めて作っており、
だからウチでは他でもない、この商品を扱っている。
これを使うと、あなたの生活はこういう風によくなるだろう。

モノにストーリーをつけることで、コトへと変える。
これからの販売員に求められるスキルの一つだと思う。

よく生産者の顔写真が載っている野菜などが売っているが、
たぶん、そういうことなんだろうと思う。
上記の接客をヒト(販売員)に頼らず効率化・均一化するとああなるんだと思うが、
こういう接客は効率化しちゃダメな気がする。

余談だが、Amazon Goは大量のカメラで顧客の動線をトレースとか
レジがないとか、最新設備のすごさばかり注目されるが、
実は接客をするための店員がしっかり配置されている(らしい)。

接客=コトへの対応にスタッフが集中ができるように
設備投資がされているとも言えるのだ。



【まとめ】

➀モノ消費→コト消費
モノそのものが欲しかった時代は終わり、モノを使うことで顧客の生活がどう変わるか?
を提案するコト消費が今後のトレンドとなる。
➁ライフスタイルショップ
コト消費からもう一歩進んだ
顧客の理想のライフスタイルを叶える空間を提供する
〇〇屋と形容できない業態、それがライフスタイルショップ。
➂モノにストーリーを付けて販売すればそれはコトとなる。
レジを打つことだけが店員の仕事ではない。これからは
ただのモノを顧客にとってのコトへと変えることが店員の重要な仕事なのだ。