皆さん、「革」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。
高級感?耐久性?それとも動物性素材への懸念だろうか。実は、革には意外な一面があり、SDGs(持続可能な開発目標)と深い関わりがあるのだ。
今回は、革業界に携わってきた経験から、革とSDGsの関係性について考えてみたい。
革って実はエコな素材
多くの人は、革を環境に良くない素材だと考えがちだ。しかし、実際はその逆なのである。
まず、革は畜産業の副産物だ。つまり、食肉産業で生じる廃棄物を有効活用している。これは、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に直結する。
さらに、革製品は長持ちする。適切にケアすれば何十年も使える耐久性は、大量生産・大量消費の対極にある。これは目標12だけでなく、目標13「気候変動に具体的な対策を」にも貢献している。
また、革は生分解性がある。使用後、適切に処理すれば自然に還る。これは、プラスチック製品が引き起こす環境問題と比較すると、大きな利点だと言える。
革業界から一度離れてみて改めて気づいたこと
実は私は一度、クラフト業界、革業界を離れている。その経験から、業界の内側にいては気づきにくい点がいくつか見えてきた。
革の価値、可能性がまだ十分に伝わっていないということだ。多くの消費者は、革の持続可能性や環境への配慮について知らない。いくつかの先進的な企業が素晴らしい提案をしているが、新素材やテック系への期待感を上回れてはいないだろう。
昔ながらの皮革製法を維持、発展させながらも、さらに新しい魅せ方ができるように業界の外で得た知見を持ち帰り、活かしていけるように私も精進したい。
革をビジネスにするということ
革をビジネスにする際、SDGsの視点を取り入れることで、新たな可能性が開けると私は考えている。
例えば、エシカルレザーの推進だ。環境に配慮した製法や、動物福祉に配慮した調達を行うことで、目標15「陸の豊かさも守ろう」に貢献できる。
また、アップサイクルの取り組みも注目だ。革の端材や使用済み製品を再利用することで、新たな付加価値を生み出せる。実はハガワ(端革)というのは昔からよくよく販売されているもので、革業界では当たり前にアップサイクルがされていたのだ。魅せ方ひとつで大きく価値が向上できるはずいい例となるだろう。
さらに、革製品の修理やメンテナンスサービスの提供も重要だ。製品の長寿命化を促進することで、持続可能な消費に貢献できる。
最後に、革の魅力や環境への配慮について積極的に情報発信することも大切だ。消費者の意識を変えることで、業界全体の持続可能性を高められる。
革は、適切に扱えば非常にエコな素材だ。そして、SDGsの多くの目標に貢献できる可能性を秘めている。革業界にわずかでも関わった者として、その可能性を最大限に引き出し、持続可能な社会の実現に貢献したいという思いがある。革の持つ新たな可能性を探り歩んでいきたい。
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